威徳寺 について

 

大分市勢家町にある威徳寺は、建立から約500年の歴史を持つお寺です。
かつて別府湾にあったとされる瓜生島に当初は建立されていましたが、島の沈没という苦難を乗り越え、奇跡的に本土へ流れ着いた御本尊と共に復活し、以降、大分の街と人々の暮らしを見守り続けています。


瓜生島伝説の生き証人

流れ着いた御本尊
御文章

「威徳寺由来記」・「豊府紀聞」・「豊後国志」などによると、当山第6世、周安の代の文禄5年(慶長元年=1596年)7月12日に起こった大地震により、「八分は海となり」その後次第に崩れて沈んでしまった瓜生島では、ほとんどの住民は島とともに消え、命の助かった者は数えるほどでした。周安は命からがらに逃れましたが、威徳寺(瓜生島道場)に安置されていた御本尊の阿弥陀如来像や、実如上人(本願寺第9世)による「御文」、蓮如上人(本願寺第8世)による六文字の名号など多くの寺宝が流失しました。
その後、住職の周安が落胆し、府内の町で一夜を明かしましたが、夢枕に一人の僧が立ち、「仏崎に御本尊が流れ着いている」と告げました。夜明けを待って行ってみると、御本尊は御無事で、名号は二文字のみが残り、「御文」の巻き物が切れ切れになって流れ着いているのを見つけ、大事に持ち帰ったとされるのが、寺宝の御本尊と「汐入りの御文章」です。


自然豊かな敷地内

威徳寺のもう一つの特徴が、敷地内に植えられている多数の植物に代表される豊かな自然です。
その多くは、花をこよなく愛していた先代住職が国内外から、様々な花や木の苗を手に入れては大事に育てられたものです。
特に、ジャカランダは本来、日本の環境では育てるのが難しい木なのですが、今では毎年6月中旬には見事な花を咲かせるようになり、この地域の風物詩の一つにまでなりました。
また、池にはソウギョという中国大陸原産の巨大な魚が悠然と泳いでいます。日本の河川にも生息していますが、実際に泳いでいる姿を見られるのは珍しいことです。
これらの自然が訪れた人々の心を静かに癒してくれます。